2016年8月11日木曜日

【第十回】 ふしぎな国道 【その他の本】

第十回は、「国道」に関する本を取りあげよう。


 奈良県民たる著者は、県内を車で運転するに当たり、度々にこりゃひどいなと思う国道に出会っていた。大和高田市内の一方通行の166号線や、有名な308号暗峠などである。吉野や十津川に温泉に行く際などは特に、これはこれは、はぁ、これでも国道ですかwwwというレベルの国道に頻繁に遭遇する。一方で、25号線、名阪国道はほとんど無料高速のようなもので、奈良県から東に出るには、カーブはキツイがコスパは最強である。どうして同じ国道というカテゴリーでここまで大きく差がでてしまうのか、なんとなく釈然としないものを常日頃から感じていた。


 そんな折、書店で偶然見つけてしまったのが、本書である。階段国道や、ダートな国道など、カラー写真つきで、紹介されており、世の中には物好きもいるものだと、つい購入してしまった。


 読みだしてみると、国道のみちは、実に深い。自ら好事家を自認する著者がその興味の趣くままに、軽快な筆致で日本各地の珍国道(酷道)を紹介してくれている。本書冒頭にある通り、本書は世の道路行政に警鐘をならすような、ある意味とってつけたようなお説教は一切ない。ただただストイックに国道というカテゴリーの中に、我々が普段の想像を超える豊富な内包が存在することを興味本位で紹介していく。著者にとっては、国道という世界はある意味ディズニーランドようなアトラクションを豊富にそろえた特別な遊園地であり、思わず人に紹介せざるをえない楽しみをもつのである。率直に言って、一読書である僕も、その熱にやられてしまい、読み進めるうちに、旅行ガイドブックを読む時ような一種の昂揚感があったことを告白しよう。しばらくは著者と一緒にその地で楽しむのもよいかもしれない。


 幸い?にも、奈良県は酷道の宝庫であり、去年は本書の影響で、日本三大酷道との呼び名もある425号をドライブした。確かにこれは、一種の冒険的要素もあって、ワクワクしてしまう気持ちがよくわかる。基本、好事家精神で傍目は酔狂なところではあるが、各地に走る国道は、その由来を考えていると、もちろんこの国の生い立ちを考えることにも直結してくのである。まぁ、やっぱりご高説は、止めにするとして、日本の道を楽しむための絶好の案内図書として、見かければ是非手にとって見て頂きたい本である。




 

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