2016年8月29日月曜日

【第十一回】 神崎正哉の新TOEIC TEST ぜったいリスニング 【語学】

 ちょっと箸休めに本のレビューもしてみよう。今回は、Toeic listening 対策の本です。


 といっても、僕は基本いい加減な性分ですので、どうも模擬テスト形式で短い大量に聞かされていると、どうも「それ用に勉強している感」が高くなりすぎて、なかなか手が伸びなくなり、結果、たいてい途中で投げ出しいます。まぁ短期間で点数を上げるというような明確な動機が強いならもうちょっとマシだとは思うのですが、個人的な環境もそうでもないので。。。


 内容的には、割と平易なテキストのようなので、すでに800点とかある人には無用の本にはなりそうですが、逆に言うとそれぐらいまで到達していない人には有用な本ではないかと思います。本書の特色は、なんといっても一冊24話分、話が裏ではしっかり繋がっていることです。といっても、一つの物語が連続していくのではなく、とある夫婦の仕事やプライベートについてのお話が、同時進行で、24回分進んでいきます。


 まずは一回、テストと思って、24話分、課題をやってみて、本当の使い方はそこからだと思います。あとは、基本的にテキストはどっかに放っておいて、ひたすら流して聞いていくような本だと思います。実際のところ、この種のテスト対策本を読書レビューに取り上げるのはちょっと変なのですが、けど、何度も聞いているうちに、なんとなく、Unit毎のつながりがなんとなくわかってくるのです。そのUnitだけ聞いているとわかりませんし、Test対策のためだけなら、わかる必要もないかと思います。けど、あれ、そういえばあの時に言っていたなーっと聞き流している内に思い当たってしまうのです。思い当たったら、だから何だということなんでしょうが、馬鹿なもので、どうでもいいことでもわかると何故かと嬉しいものです。結構そんなことが多いので、ついつい何度も聞いてしまうという次第。




 何を言っているか、よくわからないと思うので、一つだけ例を挙げると、最終話で、旦那が嫁にカリビアンクルーズのチケットを渡すのですが、それは、第三話ぐらいに、寒いところに行くのは嫌だわ的なことを、その嫁が夫の携帯の留守電に入れていたりするんです。まぁそんな感じで、内容的にも結構日常感が溢れていて良く練りこまれた本だと思います。是非、学習ついでにメイソン夫妻の忙しい一週間を聞いて見て下さい。



2016年8月11日木曜日

【第十回】 ふしぎな国道 【その他の本】

第十回は、「国道」に関する本を取りあげよう。


 奈良県民たる著者は、県内を車で運転するに当たり、度々にこりゃひどいなと思う国道に出会っていた。大和高田市内の一方通行の166号線や、有名な308号暗峠などである。吉野や十津川に温泉に行く際などは特に、これはこれは、はぁ、これでも国道ですかwwwというレベルの国道に頻繁に遭遇する。一方で、25号線、名阪国道はほとんど無料高速のようなもので、奈良県から東に出るには、カーブはキツイがコスパは最強である。どうして同じ国道というカテゴリーでここまで大きく差がでてしまうのか、なんとなく釈然としないものを常日頃から感じていた。


 そんな折、書店で偶然見つけてしまったのが、本書である。階段国道や、ダートな国道など、カラー写真つきで、紹介されており、世の中には物好きもいるものだと、つい購入してしまった。


 読みだしてみると、国道のみちは、実に深い。自ら好事家を自認する著者がその興味の趣くままに、軽快な筆致で日本各地の珍国道(酷道)を紹介してくれている。本書冒頭にある通り、本書は世の道路行政に警鐘をならすような、ある意味とってつけたようなお説教は一切ない。ただただストイックに国道というカテゴリーの中に、我々が普段の想像を超える豊富な内包が存在することを興味本位で紹介していく。著者にとっては、国道という世界はある意味ディズニーランドようなアトラクションを豊富にそろえた特別な遊園地であり、思わず人に紹介せざるをえない楽しみをもつのである。率直に言って、一読書である僕も、その熱にやられてしまい、読み進めるうちに、旅行ガイドブックを読む時ような一種の昂揚感があったことを告白しよう。しばらくは著者と一緒にその地で楽しむのもよいかもしれない。


 幸い?にも、奈良県は酷道の宝庫であり、去年は本書の影響で、日本三大酷道との呼び名もある425号をドライブした。確かにこれは、一種の冒険的要素もあって、ワクワクしてしまう気持ちがよくわかる。基本、好事家精神で傍目は酔狂なところではあるが、各地に走る国道は、その由来を考えていると、もちろんこの国の生い立ちを考えることにも直結してくのである。まぁ、やっぱりご高説は、止めにするとして、日本の道を楽しむための絶好の案内図書として、見かければ是非手にとって見て頂きたい本である。




 

2016年8月6日土曜日

【第九回】 重力とは何か 【物理学】 

第九回目に取り上げるのは、幻冬舎新書、大栗 博司 先生の著作、「重力について」です。


ほぼ数式なしで、相対性理論から量子力学までひとしきりの説明がなされているのは、見事の一言に尽きます。相対性理論については、アイシンシュタインの考えの筋道をだどってくれているので、まさしく膝に手を打ってわかるというレベルの分かりやすさです。


僕は数学的なところは、早々に諦めてしまった完全な文系人間ですので、後半の肝心の超弦理論については、さすがに置いてきぼりを食らってしまいましたが、それでもなんとなくイメージが湧きました。読ませ方一つでズブの素人にイメージが湧いてくるのですから、著者の腕前は相当なものです。


素養がないだけに、なかなか賞賛の言葉も紡ぐのが難しいですが、とにもかくにも、夢中になって読める本ですし、読み終わった後には、この世界についてなんとなくアウトラインというか、概略がわかってしまったような気持ちになれる、すがすがしい一冊かと思います。


思わずいろいろ語り出したくたくなるので、読後の翌日の職場では要注意です(笑)