2019年3月21日木曜日

【その他の本】日本人の起源

今回は、fbの方で紹介頂いた本、日本人の起源について書いてみます。

この方面の知識皆無でしたが、ゆっくり読み進めると、後半になるに従って、ちょっとワクワク感が増してきました。本書のクライマックスはやはり、縄文人から弥生人への転換をデータに基づきながら、時間的、空間的にも動的に示したことでしょうか。

 とんでもなくザックリ書いてしまうと、現在の中国江蘇省の人々とよく似た形質的特徴と、文化(抜歯について文化)をもつ人々が、九州北部に現れ、それが弥生中期から畿内方面へと展開していく、ということです。p213にあった血液タンパク質の遺伝データの近似性の距離を表した図が、象徴的で、弥生的遺伝形質をもつ人々がその中央、九州から畿内にあり、それを外側に囲むように東北と関西地方があり、さらにその外側に最北と最南端であるアイヌと沖縄があるようです。柳田國男の文化州圏論と相似していることがすぐピンとくると思います。 文化の州圏的な分布では、畿内が中央でしたが、遺伝情報では、震源地は九州北部ということになる点が異なっていますが、本質的には同じような事態が示されているように思います。

  せっかくですので、岡上私説と照らし合わせてみるならば、九州北部の弥生人にとって、   初めはその周囲は全て縄文文化を色濃くもつ狗奴国だったのでしょう。そして稲作文化を持つが故に人口の増大した九州北部の弥生人が進出を目指した方向は、南の九州南部では   なく、日本海ルート経由の畿内だった、ということだと思います。まずもって、私説と非常に適合的な内容で、内心ちょっと安心しました。

  結局、九州の方面から進出したという記紀の内容も踏まえると、高天原が宮崎でなく九州北部であったという解釈において、記紀の記載とこうした人類学的な事実が、ほぼ合致的であるという点をあとは世間様がどう評価していくのかということでしょう。記紀の資料的価値というものは、なかなか素直に認められることもないかと思いますが、どこかのタイミングで転換点を迎える日が来るのでしょう。

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