2016年11月20日日曜日

【第十四回】 侯景の乱始末記 【中国史】

ほぼ二か月ぶりの更新は、侯景の乱始末記です。
既に絶版ですし、40年以上前の本ですので、中古本屋でいつも探していましたが結局、財力に物を言わせてアマゾンでポチってしまいました。


中国南朝、梁の始祖、武帝による平和が一瞬にして灰塵に帰すというショッキングな事件を題材にしています。内容的には、漢詩などの引用も多いのでその辺の素養が多分にないと、ちょっと読むのに疲れてしまいますね。没入感という意味では、ちょっと減点。さらに、3篇に分かれているのはいいのですが、後梁の扱いがちょっと中途半端なので、読後感も少しスッキリした感じにはなりませんでした。


一番の読みどころは武帝と賀琛の問答でしょうか。
社会の腐敗を訴える官僚を、個人的な清廉さで反論する武帝とのやり取り、このすれ違いが結局は大きな破綻へと負的に発展してしまったんでしょう。


「政治とは不快な決断が必要で強い精神力が必要」「武帝は不必要に長生きしてしまった」とは、宮崎市定翁の指摘ですが、まさにその通りだなぁと感じる次第でした。


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