2019年11月2日土曜日

【その他】聖書と論理哲学論考

今回はFB側での投稿についてこちらにも記録のためアップしようと思います。
実は、fbにて古代史論考の紹介動画を作ったのですが、その際にちょっとした文をつくったその背景を書いておきたい思います。普通には動画を見ただけではよくわからないと思いますので。最近、聖書を手にするようになって、素晴らしい閃きがあったのでそれを紹介動画にもつかったということで、今回は、その閃きについての解説ということです。まず、動画で使った冒頭の紹介文を引用します。

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継続としての日本古代史
Final Chapter - an end of  the Tractatus(*4)-

はじめに物語(*3)があった
In the beginning was the Word(*2), 

物語は神とともにあり
and the Word was with God, 

そして、物語こそが神であった
andthe Word was God.
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まず"In the beginning was the word(*2)"から始まる英文ですが、これは、分かった方もおられるかと思いますが、新約聖書のヨハネの福音書の書き出しです。普通には「はじめに言葉があった」という日本語訳がついていますが、岡上私説の論考については、あくまで物語として歴史を読み解こうとしていきますので、敢えて「はじめに物語があった」と「物語(*3)」というキーワードに置き換えてみました。実際、ヨハネの福音書はイエスの数々の物語が書かれていますから、意訳としても全然アリなのではと思っています。

それから、私は自分の古代史考察をずっと「論考、論考」と言っていますが、これはどうして「考察」や「推論」と私が呼ばないかについてですが、実は「論考」といえは、ウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」という難解で有名な哲学書があり、それを意識して論考という単語を使ったからです。論理哲学論考の原題は、「Tractatus Logico-philosophicus」ですので、今回は、その「Tractatus(*4)」なる単語を使ってみました。今回のfb論考は、全体で四部64回構成ですが、もし、まだ次回があるなら今度は「探求」を使ってみたいですね!

で、なぜ古代史の論考の紹介動画で、「聖書」と「論理哲学論考」なんだ、という点については、それは「それの方がなんかカッコイイからです(笑)」というのが最大の理由ですが、実は「In the beginning was the word」から始まる一文が、まことに、まことに、「論理哲学論考」の精神を表す言葉なんではないかなと思うからですね。ウィトゲンシュタインの「論考」は、ものすごく妖しい魅力を放っている本ですが、その魅力の一つに、論理を語る本にあるにもかかわらず、極めて教条的な文言が淡々と書かれていて、論述が論理的ではなく、矛盾した性格がある点が挙げられるのではとおもいます。そして、その教条の第一条が「世界は成立していることがらの総体である。」であり、第二条が「成立していることがら、すなわち事実とは、諸事態の成立である。」という文言なんですよ。ヨハネの福音書の冒頭「はじめに言葉があった」という「言葉」は、ギリシャ語原文では「Λόγος = logos=ロゴス」ですので、即ちそれは「Logic(論理)」そのものと言えるかと思います。

論理哲学論考が超絶にエキセントリックで人を惹きつけて止まない点は、「思考の限界について語ろう」という極めて野心的なその企画にあるのですが、それは世界を「事実=言葉(成立した諸事態・命題)」として、強烈なまでに単純化して捉えてしまうところにこうした離れ業的な企画が成立する余地があるのだと思うのです。そして、「論理哲学論考」を難解ながらも取り敢えず読み進めて、完全に私が(そしておそらくは日本中のほぼ全ての読者が)置いていかれた点が、第六条から急に倫理や美についての言及が始まる事なんですね。私は 最近になって、この論理哲学論考の奥底には、どうも「In the beginning was the word」から始まる「世界の始まりを言葉としてと捉える」「言葉こそが神である」という聖書的な信仰心があったのではと思うようになったのです。ですので、「聖書」と「論理哲学論考」をセットにしたわけです。そうして考えてみることでこそ、論考の結論である「語り得ぬものについては、沈黙せねばならない。」という教条の意味がより深く体験できるのではないかと思います。







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