久々の更新は「西アジア遊記」にて。
宮崎市定は、第一回でも取り上げた明治生まれの中国史の大家。
本書は、1936(昭和11)年の市定翁が36歳ごろの旅行の話。
第二次世界大戦勃発前の中東の、若かりし歴史家のルポ。これが面白くないわけがない。
とっても、これは読んだ今となってはの話で、実は市定翁の著作を当り始めて10年。
自分の中の順番は、ずっと一番後まわしになっていたのでした。
「毘沙門天信仰の東漸について」など、西アジア関連の歴史は市定翁の論文の中でも
特に知的冒険心を掻き立てられるものがあったんだけど、本書は旅行記ということで、
みょーに敬遠してしまっていたというというところがあったんですかねぇ。
今となっては、どうしてもっと早く読まなかったか、と後悔すると同時に、
市定翁の著作リストのなかでも面白そうなところは読み切ったと勝手に考えていたので、
読んでいて嬉しいサプライズになりました。
本書のハイライトは下記の通り(笑)。
■どっかの世界的な学術会議に形式的出席して、勝手に一人旅に出る。
■イラクへの道のりでトラックすし詰めで散々な目に遭う。
■カイロで勝手に陶磁器を発掘する。
ほんとに凄い知識、知的好奇心、そして行動力だなぁと感心しきりです。
正直言って、偉大です。